手術
告知されて手術をするか、しないか、という
話にはならなかった。
だって手術の前日だし。
しなければ3ヶ月だし。
その3ヶ月もしたいことのできる3ヶ月なら
ともかく、入院前の体調を思うと
そうは見えなかった。
でもあの時、母に本当のことを話してたら
どっちを選んだんだろう、と考える。
今でも考える。
自分ならどうするかな、とも考える。
母には、腫瘍があるから、悪いものを出来るだけ
とります、と医師は説明して翌日を迎えた。
手術の日の朝、睡眠薬でよく眠れたらしい母は
妙に元気で、わたしたち3人はおしゃべりしながら
ふつうに過ごした。
母は、いつも通りの笑顔で、
「じゃ!行ってくるね!」と手を振って
手術室に入って行った。
心身共に母らしい姿を見たのは
これが最後だった。