手術後

手術は10時間ぐらいかかった。

当初の予定は8時間だったので、

延びてしまった訳だけど、姉とわたしは

手術するまでもなく短時間で終わる方を

恐れていたから、安堵した。


術後ICUで見かけた母は包帯と管だらけだった。

直前に、膠芽腫で間違いない、と告知された

わたしは、こんな大変な手術をしたのに、

治らないという事実に目の前が真っ暗になった。


翌日仕事だったから、先にお見舞いに行った姉から

「あんたたちが早く来ないから、若い男の子に

オムツ替えてもらったのよ!」って怒ってる、

と聞いて、小さな希望がもてた。


一緒にお見舞いに行ったわたしの旦那さんに、

「そんな心配した顔して!」って言ったり、

病室に戻る時に仲良くなった他の患者さんと

手を取り合って話したり、

このまま一度は回復するんじゃないか、と

思ってた。そして、その後は再発しなければ、

少し不自由ながらも家で暮らせるんじゃないか、と。


たぶん母本人もそう思ってたと思う。