弱めそ

母が家に帰ってきた。

それだけでちょっとウキウキしながら

買い物に出たわたし。

訪問医師から、「最期をどうするか考えて

おくように」言われたよ、と姉からの連絡を受けて、

母といつも行っていた直売所で涙を流した。


帰ってきた母はもう食べものを飲み込むのが

困難になっていた。

3日目の夜、お粥でむせて、吸引が必要になった。

うまくいかなくて、痛いだろうと思いながら

何度も吸引し、結局訪問看護師さんに電話で

指示を仰いだ。

その時、母が「弱めそ」って言った。


そう。

私は外では落ち着いてて、賢くて、しっかり者。

でも実は家では末っ子気質で、ずっと甘えてきた。


母に、弱めそ、って言われて、

最期ぐらい私が強くならなきゃ、

安心させてあげないと、って思った。