私の母

お母さんを絵に描いたような人だった。
家族の太陽で、働き者で、我慢強くて、
社交性があって、料理上手で。
父が病気で亡くなった後も、私たちの前では
気丈だった。
自由になって、本来の好奇心旺盛さを発揮して
いろんなことに挑戦し、友人をつくり、
父を弔いながら人生を楽しんでいた。

そんな母とは仲が良かった。
旦那さんも一緒に食事に行ったり、
夕飯を食べに来てお風呂に入って
アパートに帰ったり。
差し入れもたくさんもらったな。
今思えば、本当に子どものまま
甘えさせてもらってた。

でもある時から、毎日のように電話がかかる
ようになった。ちょっとしたことだけど、
干渉されているような気になって煩わしかった。
同じ頃、体調が悪そうな日が増えた。
相変わらず忙しそうに出かけてたし、
病院はちょっとしたことでも行く人だったから、
そこまで心配はしていなかった。

私は土地の候補が出てきて、母はバス乗り継いで
遊びに来るんだろうな、◯◯で待ち合わせて
家に連れてきたりするかな、と想像していた。

当番医に連れてって、と電話があったあの日曜日。
あの日からその想像は少しずつ消えてしまった。